福本亜矢子さんの「自分はダメなんだと思っていたけど」の話(3/5)- もう少し冒険してみたら

2019.02.03コラム

5月から毎月最終火曜日にオノベカにて開催しているトークイベント「働く女」。
昔は結婚して家事をし、子どもを育てることが女性の生きる道だとされていましたが、今では女性の生き方も多様化しています。
そんな女性のキャリアについて実際に諸先輩方にお話を聴きたい!と思い始めた会です。
ゲストはテレフォンショッキング形式で決まります。
第5回目のゲストでハニー講師の福本亜矢子さんのおはなし全5回の3回目です。
過去のものも併せてどうぞ!
第1回 わたし何やってるんだろう
第2回 男性に勝ちたい

「なんでもできるよ」

30代に入ってからは、ストレス発散としても仕事以外にやりたいことをやろうと思って、アフター5を充実させていたんです。それで勉強しはじめたのがネイルとアロマで、香りに癒されていました。通っていたアロマのスクールがメディカルハーブも学べるところだったので、その勉強もしていました。わたしの計画ではいずれ結婚をして、主婦の傍らそういうのができたらいいなと思い浮かべてたんですよ。

福本さんが施したネイル

ただ、異動が出たときに、結婚はしてないけどこれは今辞めるべきなんじゃないかなと思って、思い切って辞めました。34歳になる直前で。地方への転勤を断ったのは大騒ぎになりましたね。1人空いちゃうことになりますからね。

すごく色々言われて。「ちょっと行けば?」って色んな方から(笑)。「いやだったら辞めればいいし」って。それもそうかなと思ったけど、行っちゃったらそこにいるしかないし、申し訳ないし、辞める人間に新しい仕事を教えるのも嫌じゃないですか。

すきなところだったから、行きたいなと思ったんですけど、今までの仕事を考えたときに、全然いきいきできないと思ったんです。一人暮らしもしたことないから、そういうのも楽しそうだなとは思いました。

当時、転職してから6年半いたショールームも、色々あり閉館しちゃったんですよ。わたしはそこに戻りたかったんですよね。だけど戻るところもなくなっちゃって、これは定年までいるのはちょっとしんどいなと思って。安定はするし、年金も出るし、とは思ったけど。だけど辛抱をあと何十年もするのはしんどいなと感じたんです。その内示が出たのが2月20日でした。

わたしが仕事のことで悩みだしたときに、親友が紹介してくれた子が、子宮頸がんの末期で余命宣告されていたんですよね。その子がわたしに言ったんですよ。「もうわたしはこんな身体だからやりたいこともできないんだよ。あやちゃんは元気なんだから何でもできるよ。」って。

わたしはそのとき安定しなきゃいけないって思っていたから、全然冒険ができていなかったというのもわかっていたんです。「折角生きているんだから、もう少し冒険してみたらいいのに」って言葉がすごく頭に残っていたんです。そこから多分わたしの中でスタートしたんです。

その子が前の年の6月に亡くなって、すごく悲しかったんですけど、この内示が出た2月20日っていうのが彼女の誕生日だったんですよね。そのときに彼女からのメッセージじゃないかなと思ってしまって、「あやちゃん今だよ、どうする?」って、突きつけられたような気持ちになって。「わたしはプレゼントしたよ、あとはあやちゃん決めな」って。

きっと今がチャンスなんだと思って、会社の上司は辞めるか転勤するか1週間時間をくれました。その間、毎日気持ちが変わるんです。辞めよう、行こう、辞めよう…その繰り返しで情緒超不安定で、すぐに涙が出てきて。

日頃アフター5が充実していたから、それまでずっと毎日予定が入ってたんですけど、ちょうどその1週間は、メディカルハーブの試験を受けようと思っていたので何も予定をいれてなかったんです。

考える時間があって、色んなひとに会ったり、親には反対されるだろうから言わないで…とか。ぎりぎりまで自分の気持ちがわからなくて、自分でもびっくりするんですけど決めずに行ったんです、会社に。

座って、「どうすることにした?」って聞かれて、1分くらい沈黙して「どうしようどうしよう」って考えて、「辞めます」って言ったんですよ。その上司もふざけて「ファイナルアンサー?」とかって聞いてきて、未だに覚えてますけど「なんかふざけてない?わたしの人生なんだと思ってんの!」って思って(笑)。

概念を覆すはちみつとの出会い

辞めるって言っちゃって、それからは早いですよね。2月27日に辞めることに決めて、色んな書類が送られてきて、事務の関係上3月末の退職になって、1か月で急に辞めることになったけど今度は自分の気持ちが追い付かないんですよね。

いいひとばっかりだったんですよね、人間関係は良好で、だいすきなひとばかりで。だけど仕事のことしか考えてなかったので、「辞めよう!」って思った後に、「皆とお別れ?」って急に悲しくなっちゃって、挨拶しにいっても「何で辞めちゃうの?何考えてるの?」って言われて、こっちは不安になるんですよね。

辞めるの辞めようかなって思ったりして。だから辞めるっていった後の1か月も情緒不安定でした。しかも、有給も残ってたから「もう来なくてもいいんだよ」とか言われて。

3月30日付で辞めて、今はお金をかけずに自宅の一室でサロンをやっています。それまでお友達に練習で材料費だけもらって、休みの土日にやってたんですよね。そのひと達にお願いして、「ちょっと値上げしますけど来てください」って来てもらっていました。

わたしは今「ハニー講師」といって「はちみつ美容健康アドバイザー」として活動しているんですけど、そのときはまだはちみつに出会っていませんでした。辞めた次の月に、石狩で非加熱はちみつを作っている養蜂家さんに出会ったんです。超運命の出会いです。

はちみつってこんな味するんだって、はちみつの概念を覆されたんですよね。美味しいのに感動して、ビビっときたのですぐ調べたんですよね。そしたらものすごい効能があって、これはすごいと思って、美容にも効果的なので使おうとサロンでも取り入れています。

はちみつ食べてみましょうか。(はちみつの試食をみんなでしました。)

これは春の蜜で、サクラとタンポポとキハダがメインになってます。はちみつってブドウ糖が多いと結晶化しやすいんです。これは6月くらいに採れたもので、時間が経つと固まってきます。

はちみつは蜜源によって味が変わるんですけど、こちらはシナの蜜です。こちらはクリのお花の蜜で、色も濃くてミネラルが豊富です。これ、食べてクリってわかる方もいらっしゃるんですよ。フローラルな感じもすると思うんですけど。結構クリの花の蜜、蜂さんすきなんですよね。クリだけだと味が濃すぎるので、シナの蜜とあえて混ぜてます。

急きょ仕事を辞めることになり“冒険”をはじめた亜矢子さん。
その後はまた次回!