福本亜矢子さんの「自分はダメなんだと思っていたけど」の話(2/5)- 男性に勝ちたい

2019.02.02コラム

5月から毎月最終火曜日にオノベカにて開催しているトークイベント「働く女」
昔は結婚して家事をし、子どもを育てることが女性の生きる道だとされていましたが、今では女性の生き方も多様化しています。
そんな女性のキャリアについて実際に諸先輩方にお話を聴きたい!と思い始めた会です。
ゲストはテレフォンショッキング形式で決まります。
第5回目のゲストでハニー講師の福本亜矢子さんのおはなし全5回の2回目です。
過去のものも併せてどうぞ!
第1回 わたし何やってるんだろう

楽しい女性社会から苦手な男性社会へ

2年間辛かったから絶望の時期を過ごすんですけど、閉店が決まってから気持ちは上昇しましたね。それから、その後10年ほど勤めるHに再就職することができ、配属はショールームになりました。

接客業がすきだったのと、イベント企画も多くて楽しかったです。だいたい6年くらいそこで勤めて、たまたま3.11の地震が発生した日に内示が出て営業部に異動になったんです。そして男性社会に変わったんです。

課長・主任・部長・支店長はじめ、会社にいる人たちも当時みんな男性でした。同じ部署の中で女性はわたし一人だったし、お客様のお家には時々行くんですけど、基本的にはルート営業で、建築会社や工務店の社長や部長が相手で、すごく苦手だったんですよ。

それまで女性に囲まれて働いていて、最初の仕事もお客さんは女性だったんです。女性とは楽しくできたんですけど、なぜか男性はすごく苦手だったんです。かわいがってくれるという発想はなくて、すごくストレスになっていました。

男兄弟の中にいたからなのかわからないですけど、「男性に勝ちたい」という風にわたしは対抗しちゃうんです。今なら別にそんなのいらないと思えるんですけど。いらないというか、かわいがってくださいって行けばいいのに、ついつい一緒になって悔しい気持ちになっちゃう。

でも職場の年配社員は、すごく詳しいんです。だから張り合うことないんですけど、当時のわたしは一緒になってやんなきゃと思っていました。だけど知識的には全然なかったんですよね。

ショールームには6年くらいしかいなかったし、技術のことだって知らない、詳しい部品もわからないし、でもそれって仕方のないことだったのに、そのときのわたしは「自分はだめなんだ」って思っちゃったんです。罪悪感もあったし、自分を肯定できなかった。「なんでわたしなんだろう」とばっかり思っていました。

自分を否定し続ける日々

それからの2年間、絶望を過ごし、すごく苦しかったです。「ダメ」しか思えない感じ。常にダメだったんです。上司にもやっぱりダメだと思われていたし、「全然頑張ってないね」って言われて。確かに図星なんです。自分自身がダメだとしか思えてないから、全然頑張れていなくて、どう頑張ればいいかもわからなくて。

2年経って、今度は親会社に出向しなければいけなくなったんです。そこで「何でまたわたし?」って思うんです。「他にもいっぱいいるじゃん」って。全道でわたし一人だったんです、20人くらいいるなかで女性の出向が。

そのときも自分を肯定できなかったんです。もしかしたら抜擢された可能性もあるのに、自分を否定ばかりしていたから、そうは思えなかったんです。涙出ちゃって「無理ですわたし」って感じでした。絶望していたので会社も辞めようと思ってたんです、そのとき。

ある方に相談したら、「そう思ってるんですね。辞めるときはみんなから惜しまれたいじゃないですか。そうなるためにはどうしたらいいですか?」って言われて「みなさんのお役に立つこととか、やれることをやってきます」って決めたんです。

自分が変われば周りも変わる

それまで絶望でネガティブだったのが、ポジティブな気持ちに変わりました。「そっか、どうせ辞めるんだったらちょっと頑張ろうかな」って。自分の気持ちが変わったら、周りも変わるんですよね。

それまでわたしお茶くみも嫌だったんですよ。なんで女性だからやるんですか?って。当時の課長は、「ここは男性も女性も関係なく営業も行ってもらう」って言ってたんですけど、そのくせお茶くみはわたしに頼むんですよ。腹立ちません?平等って言っておきながらそういうところだけ「お前行け」、「片付けやれ」って。すっごい嫌で、葛藤がありました。

だけど辞める気でいるから何でもできると思って、やりたくないことを率先してやろうと決めたんです。お茶くみだって男性にされるより、女性にしてもらった方が絶対お客さんは喜ぶって思って、来たなって思ったらさっと行って。そしたら見られ方も変わってくるんです。「このひと結構やるな」って。

その後、出向が2年で解除になって、次は地方に転勤だって言われたんです。
「またわたし?」って思って。こんなに一生懸命頑張ってきて。

それはありがたいことに、支店長がわたしに来てもらいたいっていうオファーだったんですよ。そのときは嬉しいんですけど、「いやいやいやいや…」と思ってしまって。自分の中ではものすごく頑張っていたから、達成感もあって、もしかしてこれって辞めるタイミングなのかなって。

辞めるタイミングなのか…?
おはなしの続きはまた次回!