おおまちかおりさんの「世界共通!食べること」のはなし(3/5)- ライターの道へ

2018.09.09コラム

5月から毎月最終火曜日にオノベカにて開催している「働く女」。女性の多様なキャリアについて実際にお話を聴く会です。

その第2回目のゲスト・おおまちかおりさんが実際にお話しされたことの連載3回目です!

第1回 スローフードは「美味しい・正しい・きれい」

第2回 親に給与明細を見せられる中2時代

 

「書く」ことを始める

色んな国に行きました。暮らしながら旅をするために日本語教師の資格もとりました。

第二外国語として外国人に日本語を教えるための教授法があるんですけど、その分野で日本で何本かの指に入る先生が北海学園大学に3名揃っていて、ちょっと相談しに行ったらゼミに入ったらいいんじゃないということで、短大を卒業してからブランクはあったのですが、3年次編入をしてゼミに通いました。

だけど合わなかったんです、その有名な先生と。ゼミの先生と相性合わないって最悪だよね、学びたいのに。

働きながら夜や土曜日に行っていたのですが、大学の二部では1講目が5:40から始まるんです。

普通の民間の会社だったら間に合わないでしょ?夜は2コマしかなくて、1コマ目は捨てるしかなくて、それを補うのに土曜日に行くでしょ。

仕事も忙しいし、無理だなと思って先生に「休学します」と言ったら、

「あなたの立場はなんだと思ってるの?あなたは学生でしょ?」って言われたんです、やっぱり相性が合わないんですね(笑)。

社会人学生と一般学生と少し分けて考えてくれないかな…と思っていました。そうして休学届を出して仕事に戻ったんだけど。

そのとき写真事務所のアシスタントをしていたんですね。時間も不規則だし、地方取材もあるし、写真集も色々出していたので調べものもいっぱいあったんです。

昭和20年代に北海道にあった国鉄の路線が軒並み廃止になって、その駅跡をたどって写真集を出そうというプロジェクトがありました。全道あちこち行ったし、廃線の駅跡って、今度ドライブがてらでも見てみてください、ああきっとここらへん線路走ってたなってところがわかってくるんです。

なんとなくまだ森が残っていたりします。国土交通省やgoogleの色んなマップを手に、廃線跡やかつて駅があった場所を写真に撮って歩いて、近隣に住むひとたちの思い出話のインタビューをしていました。

「ここに駅があったときの思い出話、おじいちゃんお話聞かせて~」って。だいたい酪農家や農家さんがその敷地を貸していたことが多くて、インタビューがてら色々美味しいものも教えてくれるんです。

「かぼちゃ持ってけ~」、「ちょうどエビ釣れたから持って行っていいよ」、とか。

全道20数路線すべて回りました。今もあるのかな?無人駅の仮停車場という、たまに電車が停まるところがあって、農家の息子が学校通うのに飛び乗ってくるような場所なんですよね。

毎朝乗ってくる男の子がそこにいないとなると、車掌さんがちょっと前から「プップ~、プップ~、ポッポッポ~」とかって音を鳴らして合図してくれるんですって。そしたら1分位で出てこられるところに住んでいるので、おにぎりほおばって着替えながら列車に乗ったとかいう話を聞きました。

この町でこんなおっちゃんに会って、こんなおいしいものをゲットしたとか、開拓当時からある和菓子屋さんの話とかを当時まだFacebookはありませんから、ブログに書いていたんです。

そしたら札幌の老舗の編集社から声がかかりました。湧き水やアウトドア、キャンプ場のガイドブック、北海道の歴史など、北海道に特化した本を出している出版社です。

そこの方に「おおまちさん、そろそろライターデビューしませんか」と言われて。

 

本の虫だったのに、本の作られ方は知らずに

でもライターという職業がよくわからなくて。出版社や新聞社に勤めてもいないし、雑誌って全部本州でできてるもんだと思っていたから(笑)。

北海道でできているのは新聞くらいだと思っていて、でもよくよく考えたら「じゃらん」や「北海道ウォーカー」は本州の会社だけど、ライターやカメラマン、編集は北海道のひとで全部つくっているのね。

本当に無知で20代越してから知りました。写真事務所のアシスタントをしてたのに、「ああ~こうやって雑誌できてるんだ!」と思いました。

本は大好きで、親は誕生日・クリスマスとプレゼントは全部本でしたね、本は何でも買ってくれました。図書館でもすごく本を借りて読んでいて、学校で年間一番本を借りた学生として表彰を受けたこともありました。

家に本部屋がありましたね。6畳くらいの部屋に本棚がいっぱいあって、入りきらなくて玄関にも本棚がありました。

そんな風に本にはなじみがあったのに、本がどうやってできているかということは知らずに(笑)。普通そこに興味持つと思うんだけど。

結局、札幌から日帰り圏内にあって、生産者と直接会話ができる・コミュニケーションが取りながら食べるものを買える直売所のガイドブックを作る企画に、食の活動をしているし、全道周っているし、「おおまちしかいないじゃん!」ということで参加しました。

全然書いたことがないのに、突然本!すごくラッキーでした。

ワイナリーやチーズ工房など生産者を巡り巡って、それがご縁で朝日新聞や農業新聞の枠を頂いて、第一次産業を取材して、こんな面白いひとやおいしいものがあるというレポートをさせて頂いていました。

 

 

このときはスローフードや、天候と対峙しながら地味にお仕事をしている生産者さんを紹介するはしりでした。

今だと当たり前にテレビでも農園から中継ってありますけどね。こういう仕事ができてよかったなと思っています。

 

 

つづく