渡邉真琴さんの「信じ切って、気持ちをかける」の話(5/5) –

2019.04.04コラム

5月から毎月最終火曜日にオノベカにて開催していたトークイベント「働く女」
昔は結婚して家事をし、子どもを育てることが女性の生きる道だとされていましたが、今では女性の生き方も多様化しています。
そんな女性のキャリアについて実際に諸先輩方にお話を聴きたい!と思い始めた会です。
ゲストはテレフォンショッキング形式で決まります。
2月に開催した、最終回ゲストで株式会社Mako教育研究所 代表取締役の渡邉真琴さんのおはなし全5回の最終話です。
今回は「働く」そして「女」についてお伺いしました。お客さまやオノベカ代表の漆も混ざって最後は対談です!

前回までの分も併せてご覧ください。

第1回 ハイジ時代から暗黒時代へ
第2回 自分を試したい
第3回 魂を削って
第4回 がんばればがんばるほど

働くとは

その年代年代で働く意味が違うんですけど、今のわたしが働く意味は「還元」です
今まで自分が経験したことやいただいた縁、感謝とかそういうもの全部を社会に還元することが、今の「働く」の意味です。
20代は「自己実現」かな。自分への挑戦。
営業の世界だったので、数字で評価されましたけど、誰かと比較するとかではなくて、常に自分と闘ってました。とにかく自分の気持ちに負けたくなかった。
「今日行きたくないな、あの家」っていうのも、「このお父さん苦手だな」っていうのも、めっちゃ笑顔で「こんにちは~!」って一掃する。挑戦でした。
30代は自分の生きる道の模索をしていたと思います。
わたしにはどんな道が合うのかなとか。どんな道が合うかというより、どの道が行けるのかな、みたいな感じだったかな。
インテリアの仕事も、絶対落ちたと思ったのが、本当に偶然採用してもらって、でも、今その仕事にいないじゃないですか。
時々依頼があればするけれども、それじゃなく、教育の仕事に戻ってる。
今はインテリアの仕事の分量はそんなにないけれど、これも未来には必要な要素なのかなととらえています。
これから(「働く女」企画者の)過ごす30代は未来に絶対必要なことが目の前に置かれる30代だと思うんです。
必要なものしかきっと、目の前には来ないと思うので、それを大事にして進んでほしいな。

女とは

女性はすごいね。なんでしょう。なんだろう?
自分の枠をつくらないで受容できる女性が増えると社会は生きやすいような気がします。
自分ってこうなんだよね、あの人ってこうだよねと決めないで、受容する。きっとそれをできると思うんです、女性は。
受け入れられると思うから、そういう枠が広がるとよりキラキラするんじゃないかなと思います。男性はガンガン仕事してください。

―やっぱり女性は男性を立てなきゃいけないんですかね?

その方がうまくいくのではないでしょうか。そう思います。
テクニックでもないし、絶対そうしなきゃとかじゃなくて、本当に心から「あなたのおかげで、わたしすきなことさせてもらってるわ」って言う方が、「3件3件3件」って言って3件契約取れるのと一緒で、思ってることって伝わるように、すきなことをしていても、「うんうん、俺がすきなことさせてやってる」って向こうも思えて、円満なんじゃないかなって。
それなのに、前は、「わたしがわたしが」って、「あなたなんか全然だめでしょ」って、言ってないけどそう感じさせてしまっていた。
本当に彼のことを尊敬しているにも関わらず、「おかしくなっちゃった、本当に精神の病気なんじゃないか」って一時思っていたんです。
でも、それってそう思ってるからそうさせちゃうんですよね、きっとね。そうじゃなくて、「ありがとう、ありがとう」って。
男性にもそういう感覚があるかはわからないんですけど。
でも、男性は男性で奥さんを気持ちよく過ごさせる、女のひとがきれいな状態でいられることが男の甲斐性みたいな感覚でいる方が、円満な気がします。

漆(オノベカ代表):僕ら4,50代の人間だとそういう感覚はまだあると思うんですけど。若いひとたちは違う価値観に変わってますよね。

渡邉(以下渡):それこそ教材の話になるんですけど、昔はママがお財布を持ってたのが、今はご主人が持っているケースが本当に多い。お財布はご主人。
「わたし決められないんで」って。断り文句かなって最初思ってたんですけど、本当にそうなんですってね。決裁権が女性にない。

漆:財布を分けてるとかね。結構そういうひとは多いかもしれないです。
結婚するということに対する価値観も変わっているし、男女の区別も変わってきている
昔ほど、男はこうで女はこうっていうよりも、ひとりの自立した人間としてお互いどうあるべきかというようなことを、若い子たちは自然と感じているのかなと。
昔ほど女の子はピアノで、男の子は野球とか、そういうこともそんなにないところからスタートしてますよね、きっと。
そういう意味で働くということに関しても、これだけ女性が社会進出しいて。僕らぐらいの世代はまだ男女の別はあったかもしれないけど。

渡:でもやっぱり憤りはあると思うんですよね。そうは言っても、まだ男性優位なところもある。

漆:実際に社会に入ってしまうと、まだまだそういう部分があるから、余計に女性がストレスを抱える状況が、もしかしたら今の時代の方があるのかもわからないですね。
平等であるはずなのに、そうじゃないという。

渡:やっぱり女性には女性の特性があって、男性には男性の特性がある。
だけど、お互いを思い合うということではないでしょうか。表現の仕方というか、立て方や見せ方が違うと思うけど。
家庭に入ると、自分で自分のお金が稼げないじゃないですか。今まで稼いできた人ほど、自分の収入がないので、不安定になるんですよね。
自由に使えるお金がない。買いたいけど買えない。

中脇(「働く女」企画者):実際、まゆみさんはサンドイッチ買えなかったんですよね。

中西(第6回「働く女」ゲスト):そう、280円のサンドイッチが買えなかったの。

渡:そういうことですよね。働いてきたひとほど、すごくしんどいですよね。

中西:お金がなくて買えないんじゃなくて、心理的に、自分が働いてないのに使っていいのかなって。金額の問題でもないよね。

渡:そういうときに男性が「使っていいんだよ」って一言いってくれれば、「ほんと?」って。「そうでしょ、そうでしょ」って使うような奥さんだったらちょっと教育必要だけど(笑)。
大抵は、ちゃんと働いていた方だと、そこの意識はあるので、そういう意味で、男性に男気があるといいなあと思います。

漆:男が男気を発揮してほしいですよね。買っちゃダメなんじゃなくて、きいてほしいんですよね。「買ってもいい?」って。

渡:でも聴けないと思う。

漆:聞いてくれたら、「いいよいいよ」って言いたいんだけど、何も求められてないところで「もっと買ったら?」ということにはならないんですよね。

渡:そこをちょっと男性から…。

漆:うちの嫁さんはちょっと変わってるので、参考にはならないかもしれないですけど、逆に高いものとかは相談なしで急に買ったりするんです。逆に、180円のカフェラテを「買ってもいい?」って深刻な顔で言うんです。

渡:わかる!

漆:「買えばいいしょ別に」って思うし、これ聞くなら、この間のあれば何で聞かなかったの?って。
うちの嫁の場合、そういうことがあったりするので特例なんですけど。いつもは一緒に働いてるんですけど、今は子どもが生まれたばっかりで育休中なんです。
働いていないことに対する引け目はあるのかもわからないですけど、こちらの場合はまだ聞いてくれるので、逆に言ったら、そういうときはチャンスなんですよね、男気を見せる。
「買えよ!」とか冗談でも言ってみたりして。
そのコミュニケーションが男性にとってはある種の自尊心というか、自分が支えているっていう気持ちにつながるというか、駆け引きじゃないけど、そういうこともコミュニケーションとしてお互いにできるという意味では、円満なのかなっていう気はしますよね。

お客さん:180円のカフェラテ躊躇するのはわかる気がする。

渡:それなら家で自分で淹れたほうが安いかなとかね。持ってきた方がよかったかな?とか、ここは我慢して家で飲もうかなとか。
買えるんですけどね。心の鎖みたいな。

漆:子どものためとか、誰かのためだったら思い切って買うけど、自分のためにってなるとすごく躊躇する。うちの嫁さんを見てるとそういう感じはありますね。

―今後したいことはありますか?

渡:家庭が根本なので、夫婦の仲がいいことが大前提だと思っています。子どもがいるから仲良くするとかじゃなくて、やっぱり夫婦からだなって。
社会の縮図なんだろうなと思うので、そこを伝えたい。
「教育」を介して、多分わたしはそこも伝えたいんだろうなっていうのが最近感じていることです。
だから、離婚の経験もしたし、危機をなんとか乗り越えることができたことも、「伝えなさい」ってことかなと、いいように解釈しています。
捉え方次第だから、悲観的にとろうと思えばいくらでもとれちゃうので、都合よく、いいほうにいいほうにって、思ってます。
ずっとお金の管理をわたしがしてたんですけど、この離婚を乗り越えるにあたって、全部主人に渡したんです。すごい葛藤だったんです。何にも使えない。
本当にしんどくて、自分の存在価値がなくなったみたいに感じたんです。
お仕事を一生懸命やって、キャリアを積んで、実績があるひとほど、しんどいかもしれないですね。
委ねるという意味では。時々気持ちがむくってしますもんね。

中西:そしたらお小遣いもらうの?

渡:必要なものを言って、お金を出してもらうって言う感じ。逆になった。
「男性ってこんな感じ?しんどーい」と思って。
「お金のストックがあるだろうな~」と思うけど、「ない」って言われたときには「なんでないの!?」って思うし、世の中の男性がよく言っているのが、今はわかる。
お金が必要なときに気持ちよく、「わかったよ」って出してあげるのは、お財布を持ってる奥さんは大事にした方がいいと思う。限度はあると思うけど。

中西:わたし、結婚した当時、夫のお小遣いが月3万円だったのね。
「うちはこいつが社長で、俺の年収は36万だ」って言われたことがあって、わたしの親の前で。
それで、これはちょっとまずいと思った。そういう感覚なんだなって。

渡:そしたら年収36万で設定しちゃうから、36万円の中でのやりくりになっちゃうんですよね。

中西:力関係もわたしの方が上で、本当はもっと稼いでるのに、年収36万だって言われて。

渡:わたしもしょんぼりですもん。あれー?みたいな。決して自分が家計を持っていたからって、全部すきなように使うわけではないつもりでいたけど、

中西:言わなきゃ出てこないのとね。

渡:こっそりへっそりって楽しい!みたいな感じはある。

中西:今、ご主人とは仲良し?向こうも変わった?

渡:仲良しです。主人は変わってないんじゃないかな。向こうは常に一定な気がします。
一度、わたしに対しての糸が切れたはずなんですよ、彼も。
不安定な6,7月くらいに、「今は一緒にいるけれども、あなたが自立して食べていける道が見つかったら、俺は別れようと思ってるよ」って言われてたんです。
「うまくいったのかな」って思ってたら、そう言っていたので、「ああ」と思いました。
最近、改めてそれも確認したんですけど、「まだそういうこというの?」というので、「ああ、辞めよう」と思って、大丈夫なのかなと思っています。でも、常に危機感は持ちながら。

中西:甘えないっていう意味でね。

渡:ついつい、自分がやっちゃうところがあるので、今回の小中学生向けの塾を開設するんですけど、そのときも、わたしが代表になっていいものかどうか、すごく悩みました。
それも相談して、そこは問題ないということになりました。
わたしが代表になったとしても、結局は主人を立てて、彼に対して気持ちをかければいいだけのことで、逆にそうやって気を遣うからいいのかなと思って。
まだ学びは続きます。
主人はやさしい。やさしいけど、どんどん頑固になっていってるなと思う。
悪かったところがよくなるってことは、あんまりないって思った方がいいんじゃないかなと思います。結婚するときって、結婚したらよくなるんじゃないって思いがちだけど、そうではないと思う。

漆:元から良かった部分はよりよくなって、元々よくなかった部分はより露呈するというかね。

渡:色濃くなってきますよね。そこはいい意味で期待しちゃうと痛いかもしれないですね。

漆:相手にあんまり期待しないほうがいいね。期待していい部分と、そうじゃない部分があるね。

<完>

仕事に家庭に大変な場面を乗り越えてきた渡邉さんの「家庭」の話が、未婚のわたしにとっても非常に勉強になりました。
渡邉さん、ありがとうございました!

以上を持ちまして、「働く女」は終わりとなります。
読んでいただき、ありがとうございました!